SAJ2026で大きな反響を呼んだ講演「世界基準のスポーツアナリティクス」とは
- Nacsport Japan
- 2 日前
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スポーツアナリティクスの最前線が集う「SAJ2026(スポーツアナリティクスジャパン)」にて、Nacsportサポートチームアナリストの松浦大輔氏が登壇しました。
会場には多くのコーチやアナリスト、学生が集まり、講演後も質疑応答が途切れることなく続くなど、大きな反響をいただきました。
今回のセッションでは、海外で学び、現在日本ラグビーリーグワンチームで活動する松浦氏が、「世界基準のスポーツアナリティクス」と「日本の現場に必要な変化」について、自身の経験を交えながら紹介しました。
NZでのコーチングによって育まれた3つの価値観

ニュージーランドでの経験を通して、松浦氏はアナリストとして大切にしている3つの価値観を紹介しました。
① 信頼によるつながりが、選手の意思決定を後押しする
コーチと選手が対話を重ね、信頼関係を築くことで、選手は自ら考え、判断する力を育んでいきます。
② 失敗から学ぶことで、大きな成長につなげる
失敗を責めるのではなく、「なぜその判断をしたのか」を一緒に振り返ることで、新たな学びが生まれ、次の成長へとつながります。
③ 主体性が、リーダーシップと適応力を育む
日頃から自ら考え、判断する習慣を積み重ねることで、変化の激しい試合でも自ら役割を見つけ、行動できる選手へと成長していきます。
松浦氏は、この3つの価値観こそが、自身がアナリストとして「どのような立場でチームを支え、何のために分析を行うのか」を考える原点になっていると語りました。映像やデータ、テクノロジーは、その考え方を支えるための手段であり、選手やチームの成長を後押しするために活用していると紹介しました。
分析は「ゴール」ではなく、チームを成長させるための「手段」
講演の中で最も印象的だった言葉の一つが、
「分析はゴールではなく、学習機会を作る手段」であるという考え方です。
スポーツアナリティクスというと、「試合を分析すること」や「データを集めて選手を評価すること」をイメージする方も多いかもしれません。
しかし、松浦氏が伝えたかったのは、その先にある価値です。
分析の目的は、選手やチームを評価することではありません。
映像やデータを活用して、選手・コーチ・スタッフが新たな気づきを得て、対話を生み、次の行動につなげること。そして、チーム全体の学びを深める機会をつくることです。
世界基準と日本のスポーツアナリティクスにある3つのギャップ

松浦氏は、海外での経験をもとに、日本のスポーツアナリティクスがさらに発展するための3つのポイントを紹介しました。
1. 「データを集める」で終わらせない
映像を撮影し、タグ付けをすることが分析のゴールではありません。
集めたデータをコーチや選手と共有し、課題を見つけ、次の行動につなげることが本来の目的です。
「何となく分析して終わる」のではなく、分析結果を現場で活かすワークフローづくりが重要だと語りました。
2. アナリストは「戦略的パートナー」へ
AIの進化によって、タグ付けや映像整理などの作業は今後ますます自動化されていきます。
だからこそ、これからのアナリストに求められるのは、データを解釈し、コーチとともにチームの課題を考え、意思決定を支える「戦略的パートナー」としての役割です。
3. データを「共通言語」にする
分析の価値は、データを作ることではなく、コーチや選手が理解し、活用できることにあります。
難しい分析結果を分かりやすく伝え、チーム全体で共通認識を持つことが、より良い意思決定につながります。
松浦氏は、アナリストの役割はデータを"翻訳"し、チームの共通言語として伝えることだと紹介しました。
この3つを踏まえ、松浦氏は、AIがデータ収集やタグ付けを担う時代だからこそ、アナリストはデータを解釈し、コーチと併走しながらチームの意思決定を支える「戦略的パートナー」へと役割を広げていく必要があると語りました。
Nacsportを活用し、分析チームを拡大
講演では、所属チームでの取り組みも紹介されました。
その一つが、分析チームの拡大です。
これまではボランティア学生が映像撮影を担当することが中心でしたが、Nacsportを導入したことで、学生自身が練習映像を分析し、コーチへ分析結果をプレゼンテーションする機会を設けたと紹介されました。
松浦氏は「教えるだけではなく、発表する機会をつくることも大切」と語り、学生が実践を通じて分析力を身につけられる環境づくりに取り組んでいます。
また、「関わる人全員の学習機会をデザインすることが自分の仕事」と話し、ボランティア学生や選手、スタッフなど、それぞれが学び成長できる環境づくりの重要性についても紹介されました。
試合だけではなく、練習を分析する
松浦氏のチームでは、試合と同じくらい練習分析を重視しています。
選手が練習で取り組んだ内容が試合でどのように発揮されているのかを確認し、コーチと継続的に対話を重ねながら改善を進めています。
さらに、オンライン上で映像を共有し、選手とコーチがコミュニケーションを取れる環境を整備したことで、選手が自ら映像を見返し、学びを求める取り組みも生まれました。
松浦氏は、このような取り組みを通じて「主体的なレビュー文化」をつくり、選手自身が成長につながる映像活用を進めていることを紹介しました。
Nacsportが支える、現場のスポーツアナリティクス
今回の講演では、Nacsportは単なる映像分析ソフトとしてではなく、現場での実践を支えるツールとして紹介されました。
限られた予算の中でも導入しやすく、ボランティア学生やインターンも活用できる操作性を備えていることから、分析チームの拡大や実践的な学習にも役立っています。
映像を記録するだけではなく、分析し、共有し、議論し、次の行動につなげる。
そのプロセスを支えることが、Nacsportの大きな価値の一つと言えるでしょう。
おわりに
今回のセッションは、分析技術の紹介にとどまらず、「これからのアナリストは何を目指すべきか」を考えさせられる内容でした。
分析とは、データを集めることではありません。
チームの課題を見つけ、コーチや選手と対話し、より良い意思決定につなげること。
そして、選手やスタッフ、学生など関わる人たちが学び続けられる環境をつくること。
Nacsportは、これからもスポーツ現場の皆さまとともに、映像分析を通じたチームづくりと人材育成を支えてまいります。



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