• Daisuke Matsuura

アナリストとしての役割。コーチの負担を減らし、新しい方法を確立する。

最終更新: 8月24日


『はじめに』

今回は、グロスター・ラグビーヘッドアナリスト、ルイス氏によるシリーズ投稿第2弾となります。前回の投稿をまだお読みでない方は、ルイス氏シリーズ第1弾アナリストの「評価」と「進化」もぜひご覧ください。

さて、今回の第2弾は、グロスター・ラグビーがSportscodeからNacsportに移行する時のルイス氏の考えと過程についての物語です。

それでは早速、ルイス氏の物語を聞いていきましょう。


『ソフトウェア導入に重要な人物』

チームの分析班は、Nacsport、AnalysisPro(イギリスのNacsport代理店)との関係構築、ソフトウェアの評価などに多くの時間を費やしました。そして、Nacsportは、Sportscodeにとって変わる物だと確信しました。 この時間でNacsport社から感じ取った、現場からフィードバックを受け入れる姿勢と、ユーザーの体験を元に継続的な改善に取り組む情熱は、私たちにとっても非常にありがたいもので、私たちユーザーの意見・経験を大切に受け止めてくれていると感心させられるものでした。


現在私たちは4年以上Nacsportを使用していますが、このとき彼らから感じた情熱は、私たちの関係性において本当に重要なものになっています。 私たちは、アナリスト部門として自信をもって導入のための準備を進めてきました。そして本格的な導入を決断するために、次に必要だったことは、アナリスト部門以外のコーチ陣、チームスタッフにもこのシステムを使用できるように整えていくことでした。

「あなたの決断が明白な過程に従い、各段階で適切な人々を巻き込むと、成果は大きい」

『新しいソフトウェアとより良い未来』

グロスター・ラグビーのコーチたちは、Sportscodeの使用経験しかありませんでした。そのため、Nacsportを使用した異なる分析過程を導入するに当たって、どうやって彼らの賛同を得るか、というのは非常に重要な部分でした。


彼らコーチ陣に、異なるプロセスへ移行をし、新たなやり方を学んでもらうというだけではなく、これの移行によって、私たちが得られる利点や、新しいツールとワークフローで達成できることを証明する必要があったのです。 当時、私たち自身も、Nacsportについては学習途中ではありましたが、コーチ陣のためにワークショップを準備・開催し、Nacsportの主要な要素を紹介できる機会を設けました。ただ単に、コーチ陣に新しいソフトを渡すだけでは、従来の使用法、独自の使い方のまま終始してしまうと考えたからです。


彼らが独自の方法で新しいツールに慣れることを期待するのではなく、Nacsportのツールが(例えばダッシュボード、プレゼンテーションウィンドウ、KlipDrawなど)がどのような影響を私たちに与えてくれるのか、を伝えることにしました。

初回のワークショップでは、これらツールのデモンストレーションを行いました。彼らはすぐに新しいツールの魅力を感じてくれました。さまざまな機能がありながらも、簡単な方法で使用することができ、彼らにとっても理解しやすいツールだとわかってくれたからです。



『未知のことへの恐怖を与えない』 これまでのキャリアを通じて、私の中に生まれた哲学の1つに「一緒に働くコーチが、可能な限り、彼ら自身でソフトウェアを使用できるようにする」というものがあります。

ラグビー以外の多くのスポーツでもそうだと思いますが、コーチングの技術は大幅に進化しており、今ではおそらく、フィールド内の練習時間以外にも、映像を用いてコーチングする時間が増えているのではないでしょうか? この状況を踏まえたとき、アナリストだけでなく、コーチ自身が分析ソフトを出来るだけ効果的に使用し、質の高いビデオコーチングができるようになることは、本当に重要なことだと考えています。コーチ陣が分析ツールを活用できるようになると、私たちアナリストのスタッフ陣は、そのコーチングプロセスをサポートしながらも、他の領域へ付加価値を提供するために費やす時間も生み出すことができます。

そして、この環境を作り出し、効果的に運用していくためにも、コーチ陣が簡単に学習でき、技術的に容易である必要があるのです。もちろん、移行当初は困惑した部分もありましたが、この過程で確立した新しい作業方法が私たちにとって、普通のものになるのに、そう時間はかかりませんでした。 これはまるで、iPodが登場したときに似ています。iPodが販売される前、何千もの曲をポケットに入れて歩くことができると想像していた方は少ないと思います。しかし、iPodが登場してしばらく経つと、誰もそこに違和感を感じなくなりました。 これと同じで、導入当初は想像できなかったものも、それが当たり前に変化していく過程が、そこにはありました。


『コーチのためにワークフローを作成』

私は分析ソフトでの作業に関して、コーチとアナリストの間には、使用法に違いがあると思っています。もちろん、コーチにとっても映像分析に費やす時間は、フィールド外で過ごす時間の大半を占めます。しかし、彼らはそれ以外にもたくさんの仕事を抱えています。 それに比べて、アナリストはほとんどすべての時間をソフトウェアに費やすことができます。したがって、コーチが要求したワークフローを開発し、そのサポートをすることは、私たちにとって、非常に重要な役割の1つなのです。 私の経験では、コーチ陣は必ずしも、アナリストと同じレベルの高度なカテゴリーテンプレートは必要ではありません。同じように、分析データの表をExcelに書き出す際の、様々な出力オプションを理解する必要もないと思っています。もちろん、コーチ陣が学びたいという意欲があった場合は、私は彼らのスキルアップをサポートします。そこには価値があると思っていますが、それが必須であるとは考えていません。 コーチにとって必要なのは、彼らの目的が簡単に達成できるような【効果的なワークフロー】です。これに万能のアプローチはありませんが、このワークフローの作成は、アナリストの重要な仕事の1つです。 Nacsportに関するチーム内のワークショップは、私たちがどのように作業しているか、各要素で達成しようとしていたことは何か、について話し合う良い機会にもなりました。これは非常に価値があることで、将来の分析過程の再構築にもつながりました。

ワークショップは定期的に開催し、コーチ陣がNacsportに触れる機会を作り続けたことで、新しい作業に慣れ始めていました。結果的に、Nacsportに移行することで得られる変化を全員が理解を示してくれ、Nacsportへの移行計画にも賛同してくれたのです。

私たちの分析のワークフローの再構築と、ソフトウェアの動作に関する専門知識をレベルアップさせる計画は順調に進んでいました。そして、この新しい計画に必要な最後のピースに取り組むことが始まります。それは、Nacsportのための機材環境として、これまでのMacではなく、Windows が必要になることを、チームのディレクターにプレゼンテーションし、説得することでした...。

『さいごに...』


いかがでしたか?

私はこの記事をまとめている中で、「コーチのために、ワークフローを作る事もアナリストの仕事の一部」というところに、強く惹かれました。


私は現在、ラグビーチームのコーチ兼アナリストとして活動しています。その中で、少し悩んでいた部分がありました。それは・・・コーチとアナリストの、仕事の違いについてです。なぜなら、分析ツールはアナリストだけのものではなく、コーチ自身も分析ソフトを使用して映像を活用しているからです。アナリストとしての仕事と、コーチとして分析ソフトを使うことの違いがわからず、悩んでいたのです。


しかし、この記事をまとめながら、コーチとアナリストの仕事に違いが、自分の中ではっきりしました。私なりの解釈ですが、「アナリストの仕事は、より専門的にソフトを扱い、コーチの分析という仕事の負担を減らすこと」。このことを頭に入れて、アナリストとしても活動していきたいと思います。

皆様にとっても、この記事が有益なものになることを祈っています。お読み頂きありがとうございました。


『筆者 Daisuke Matsuuraについて


関西大学大学院卒。オーストラリア、ニュージーランドでラグビーコーチング、分析等を学び、現在はニュージーランドと日本でラグビーコーチ/アナリストとして活動中。コーチとして、ラグビーワールドカップの優勝を目指している。今後は、ヨーロッパやアルゼンチンへ活動を拡げようと計画中。言葉、映像、環境を操り、人との繋がりを大切にして、選手のパフォーマンス向上とチームの勝利を目指しています。

SNSにて、最先端のラグビーコーチ、アナリストとしての活動内容を日々投稿中!!

Facebookで活動を確認する

Instagramで活動を確認する



Nacsportの公式SNSアカウントは以下から


Nacsport公式Facebookはこちら


152回の閲覧

株式会社ジェイ・エス スポーツ事業部 〒154-0011 東京都世田谷区上馬4-2-5  電話:03-5432-6262 support@nacsport.jp