アナリストの「評価」と「進化」
更新日:2021年3月21日

『はじめに』
今回は、世界で活躍するアナリストの方に、
「プロフェッショナルのアナリストを目指す人のために」
を大きなテーマにした記事を書いていただきました。
そのアナリストとは、グロスターラグビーに所属する、ダレン・ルイス氏です。
グロスターラグビーは、1873年に創設、イングランド1部プレミアシップに所属する、伝統あるラグビーユニオンクラブで、ルイス氏はこのグロスターラグビーのパフォーマンス分析の責任者を務めています。
ルイス氏の記念すべき第1回目の記事は、彼の仕事の
「評価」と「進化」
について書いていただきました。それでは、早速見ていきましょう! ルイス氏シリーズは以下よりご覧いただくことが可能です。
#2 アナリストとしての役割。コーチの負担を減らし、新しい方法を確立する。
『アナリストの仕事を「評価」する』 エリートレベルでアナリストとして働くために、自らの仕事の「評価要素」を確立することが重要です。仕事の内容には、【映像、情報、データ…様々な側面】があると思います。
その中でも私は、アナリストの仕事の緻密な部分への評価だけではなく、全体を見たアプローチ、仕事の質を評価することも大切だと考えています。
例えば・・・・
・多忙なシーズン中や1週間単位の日程において、どれほど効果的な仕事できているか? ・我々アナリストが作成する分析情報が、どの程度チームへ影響力を持つことができているか? ・分析が最大限に活用され、チームにより有益な影響を与えるために、どう改善していけば良いか?
上記のような、仕事の包括的な側面について、私はいつも、心の中で自問自答しています。
私たちアナリストが、チームに与えている影響を理解するためにも、自らの仕事を継続的に評価していくことが必要です。そして、上記のような質問の答え、すなわち仕事の評価は、絶えず変化し、進化していくものだと考えています。
このように、自らの分析プロセスを改善するために、作業工程の全体を継続的に評価することは、スポーツ界で生きていく上で、とても重要な考え方だと思います。
幸運なことに、私は14年間パフォーマンス分析を軸にした様々な役割を務めることができました。その背景には、上記のような、日々改善していこうとする競争心があり、それが自分自身を成長させ、継続的な進化へのチャレンジに通じる、私自身の原動力となっています。
『ルイス氏の仕事の「進化」』
私のアナリスト人生の旅の中で重要な「進化」のポイントになったのは、私が所属するグロスター・ラグビーが、分析ソフトをSportscodeからNacsportに移行したときのことです。
この移行は、ソフトウェアの機能面の比較だけではなく、どんな会社がソフトを提供しているのか、なども考慮しながら検討を進めました。非常に難しい仕事であり、一夜で終わるような、単純なものではありませんでした。
実際に起こりうる様々な場面でNacsportを使用しながら、ソフトに対する理解を深め、またNacsportの開発者やイギリス代理店でもあるAnalysisProと関係を築きながら、少しずつ進めていきました。 Nacsportを使い始めて間もない頃は、以前使用していたソフトと同じ作業方法で分析をしていました。これまでと同じ作業工程をNacsportを使って再現することは難しくありませんでしたが、これは単純に従来の方法を真似しただけのことであり、進化を求め新しいツールの使用を考えていた私たちにとって、このやり方は間違っていると思うようになったのです。
新しいツールを通じて、可能性を拡げていくためには、思考の枠を広げる必要がありました。Nacsportの機能を最大限活用するために、全ての作業工程を、シンプルな原則とパフォーマンス分析の方法論に基づいて、再開発することにしたのです。
これはもちろん簡単なことではなく、多くの課題が生じました。ただ、このときNacsportとAnalysisProが様々なサポートをしてくれ、そのおかげでこの再開発を達成する事ができました。これは、私たちの関係性を強め、彼らに対する信頼度が大きく高まった1つの出来事でした。
まだこの段階では、グロスター・ラグビーはNacsportへの移行を決めたわけではありませんでした。それにも関わらず、「パフォーマンス分析の課題」を解決するために、多くの会話をし、素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。
この時のコミュニケーションは、非常に楽しく、そして生産性が高かったです。ソフトウェアの機能の詳細を知り、将来を見え据えた多くの作業を共にしたことで、Nacsportに関わる人たちと、強い信頼関係が生まれたと思っています。
この過程を通じて、新しいツールを上手に活用できるようになった今、私たちの仕事の可能性は一気に拡大し、過去のアプローチの欠点さえ見つけることができるようになりました。もしかしたら私たちは、【無意識に自分たちで可能性を制限していた】のかもしれません。「今までこのようにやってきた」という固定観念の中で悩んでいたのだと思います。
このようにして、私たちは、新しいツールの導入をきっかけとして、大きな進化を起こすことができました。
最近、親しい友人と会話をしていて、非常に興味深い質問をされました。
「どのくらいの人がビジネスの中で働いていて、一方で、どのくらいの人がビジネスを動かす側で働いているのかな?」
私はこの質問にハッしました!この2つには大きな違いがあると思っていたからです。
Nacsportに移行すると決断したとき、つまり、私たちが大きく進化をしたとき、自らのミッションを遂行するために、後者のような働き方ができたと信じています。そしてこのとき、固定観念は崩れ、視野が一気に広がったと感じていします。
そして次の私たちが自分たちで動かす仕事として、Nacsportへの移行の成功事例として活躍することがあると考えています。
『さいごに...』
いかがでしたか?
私はこの記事を訳していて、自分の作業に常に疑問を持ち続ける彼の姿勢に、とても感銘を受けました。また、自分自身を評価する基準を持つことの重要性を学びました。
私自身でも、週に一度、自分の作業過程を評価していきたいと思っています。そのために、まず自分を評価する基準を作ろうと思います。コーチング、分析、様々な仕事があると思いますが、その仕事がどれだけ役に立っていて、どれだけ効率が高いのかは、日々研究していきたいですね。
それでは、今回はここまでにします!
お読み頂きありがとうございました。
『筆者 Daisuke Matsuuraについて 』
関西大学大学院卒。オーストラリア、ニュージーランドでラグビーコーチング、分析等を学び、現在はニュージーランドと日本でラグビーコーチ/アナリストとして活動中。コーチとして、ラグビーワールドカップの優勝を目指している。今後は、ヨーロッパやアルゼンチンへ活動を拡げようと計画中。言葉、映像、環境を操り、人との繋がりを大切にして、選手のパフォーマンス向上とチームの勝利を目指しています。
SNSにて、最先端のラグビーコーチ、アナリストとしての活動内容を日々投稿中!!
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